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子宮頸がんワクチン 失神、誤接種に注意喚起
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接種後の失神や誤接種が多発しているとして厚生労働省が6月末、医療機関に異例の注意喚起をした子宮頸(けい)がんワクチン。
若い女性に増えている子宮頸がんを防ぐために必要なワクチンを安全に接種してもらうための注意点を調べた。(村島有紀)

恐怖心が原因

接種した女性に聞くと、「2、3日、腕が上がらなくなった」(東京都、中学2年)、「体がだるくなった」(同、高校1年)-。
接種は抗体を得やすいように肩近くの筋肉に3回行われるが、皮下注射の予防接種より痛みが強い。
また、ワクチンに含まれるアジュバント(免疫補助剤)の中でも水酸化アルミニウムは痛みを感じやすいとされる。

しかし、厚労省などによると、失神の原因は「痛み」そのものではないという。思春期の女性に起こりやすい「血管迷走神経反射」による失神で、注射への強い恐怖心が主因のようだ。

ワクチンに詳しい横浜市立大付属市民総合医療センター(横浜市南区)の森雅亮(まさあき)・小児総合医療センター部長は「女子中高生の間に『子宮頸がんワクチンはすごく痛い』という噂が広まった。
接種前から顔面蒼白(そうはく)の子もいて、緊張をほぐすことがまず必要」と話す。
思春期特有の高い感受性が「血管迷走神経反射」の一因ともみられる。

厚労省によると、
(1)接種後に立っていた
(2)立ち上がった
(3)背もたれなどがない椅子に座っていた
-場合に失神者が多発。転倒し、顔面骨折や軽度の脳挫傷が起きた例もあり、注意を呼び掛けている。

対策として、森部長は「接種は、体調が良く、翌日もゆっくりできる日を選ぶ」「接種後、30分~1時間は安静にする」「かかりつけ医などリラックスして受けられる場所での接種」などを勧める。
横臥(おうが)での接種も効果的だ。
副反応についてよく理解し、過度に恐れないことも必要だ。

◆履歴貼り付けを

2種類ある子宮頸がんワクチンを誤って交互に接種してしまう誤接種の報告が、昨年8月から今年4月までの厚労省の調査で計61例あった。
2種は、予防するヒトパピローマウイルス(発がん性ウイルス)の種類のほか、効果や投与の時期などが異なる。
交互に打った場合の予防効果や安全性は確認されていない。

森部長は「夏休みは接種を始める良い時期。どちらのワクチンを打つか決め、母子手帳に接種履歴を貼り付けるなどして誤接種を防いでほしい」と話している。