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肩こりの季節、自宅でできる対策は? 呼吸法もオススメ
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年齢、性別を問わず、多くの人が悩まされる肩こり。冬に向かう11月前後は特に肩がこりやすい時期だという。
北里大東洋医学総合研究所(東京都港区)所長補佐の伊藤剛(ごう)さんに肩こりの原因や家庭でできる対策などを聞いた。(竹岡伸晃)

 ◆硬くこわばる筋肉

 「筋肉内の血管が収縮し、血流が悪くなった状態で筋肉を酷使すると、血管から『発痛物質』が出る。
すると、筋肉は痛みに敏感になり、不快感や鈍痛を生じるだけでなく、筋肉が硬くこわばる。これが『こり』」

臨床准教授・漢方鍼灸(しんきゅう)治療センター副センター長として診療も行っている伊藤さんは、こりの仕組みをこう解説する。

血管の太さの調節を行うのは自律神経の一種の交感神経だ。身体や精神にストレスが加わると交感神経が緊張して血管が収縮し、こりの原因となる。
長時間のパソコン作業や車の運転で肩がこるのは、精神的な緊張に加え、同じ姿勢を維持するため肩や首の筋肉に過度な負担(ストレス)がかかるためだ。

また11月は、
(1)寒暖の差が激しい
(2)気温が10度を下回る寒い日が増える
(3)一年で平均気圧が最も高い

などの理由から交感神経が緊張しやすいうえ、厚着で肩や首への負担が増え、こりやすくなるという。

伊藤さんは「肩こりを放置すると慢性化して、首や背中、腰などのこりを引き起こす」と警告。頭痛やドライアイなどの原因にもなるため、早めに対処することが重要だ。

肩こりを解消する方法として、伊藤さんは「漢方や鍼灸も有効だが、最初は指圧や入浴などで血流を改善する方法を試してみては」と提案する。

 ◆内臓疾患も要因?

指圧を行う場合、まず、指で押して痛みを感じるツボを探す。
伊藤さんはこうしたツボを「こりの目」と呼んでいる。
肩井(けんせい)、天りょう、肩中兪(けんちゅうゆ)、曲池(きょくち)は肩こりを軽減させるツボ。
これらのうち、押して痛むツボを指圧すれば「こりの目」が解消できるという。

指圧は指の腹を使い、「5秒押して5秒離す」ことを5回繰り返す。
「強過ぎない程度でしっかり押す」ことが大切だ。
手で押しにくい場合、軟式野球などのボールを用いて刺激する方法もある。

入浴の場合は、最初に41~42度の湯に5分間、バスタブに頭を乗せて首までつかり、肩と首の筋肉を温める。
その後、体を起こして5分間入浴。
のぼせないため、計10分以内で出る。

このほか、肩や首周辺のストレッチや体操で筋肉をほぐしたり、市販の磁気治療器でこりの目を刺激したりする方法も有効だという。

ただ、肩こりには内臓や神経の疾患が原因で起こるケースもある。
伊藤さんは「症状がなかなか改善しない場合は医師の診察を受けるように」と話している。

 ■お勧めの予防法は「呼吸」

日頃から肩こりの予防にも力を入れておきたい。

伊藤さんお勧めの予防法は「呼吸」だ。

肺の中の空気を出し切るように約10秒かけて息を吐き、その後、約5秒で軽く息を吸う。
これを3回繰り返すと、交感神経の働きが抑えられてリラックスできる。

このほか、
(1)仕事中などに同じ姿勢を長く続けない
(2)猫背にならないよう背筋を伸ばす
(3)首や肩のストレッチを適度に行う
(4)ウオーキングやジョギングをする
-ことも効果的だ。